コラム

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ペルソナの作り方 手法とポイントを紹介

2022年4月28日

マーケティングでよく使われる「ペルソナ」について、その意味と作り方を解説します。ペルソナという代表的な顧客像を設定し活用することで、背後にいる多くの顧客が求めるものを提供することができます。

-目次-

ペルソナとは?

ペルソナとは「架空のユーザー像」

ペルソナ(persona)とは、ラテン語で仮面を意味します。マーケティングでは商品開発やプロモーションの際に設定する代表的な仮想ユーザーのことを意味しており、代表的なマーケティング手法のひとつです。

ターゲティングとの違い

ペルソナと似た意味の用語としてターゲティングがあります。その違いは簡単にいうと情報の詳細さです。

ターゲティングは簡単に言うと売り込む相手を決めることです。企業が有するリソースは限られているため、全ての市場を相手にすることはできません。

そのためアプローチする顧客を絞り込む必要があります。絞り込む方法としてはまず市場を切り分けることからはじめます。(セグメンテーション)

セグメンテーションは以下の4つの軸を用います。

・地理的属性:地方や気候、人口密度など

・人口動態的属性:年齢や性別、家族構成、職業など

・心理的属性:趣味や趣向、価値観、欲求など

・行動的属性:購入頻度や来訪回数など

顧客をセグメンテーションした後は、その中からセグメントの魅力度やブランドとの相性にもとづいて標的とする的(マト)を定めます。(ターゲティング)

限られた資源を効果的なターゲットに集中投下することで、差別化された商品・サービスを提供できるというのが伝統的なマーケティング手法です。

それに対し、ペルソナマーケティングはターゲットにリアルな人物像を付け加えたものです。

ターゲティングでは名前・年齢・性別・住所などの属性までしかわかりません。

ペルソナはパーソナリティやライフヒストリーなどの細部に至るまで詳細に描くことで、まるで実在するかのような1人の人物像を作り出します。

ペルソナを作るメリット

顧客のニーズをより詳しく把握できる

ペルソナを作成することで、顧客への理解が深まります。なぜなら詳細な情報があることで顧客に対するイメージが湧きやすくなるからです。例えば20代女性大学生という情報だけ見ても、その人が何を求めているかを想像しづらいかと思います。しかし、以下のような情報があるとどうでしょう。

【名前】佐藤佳奈
【年齢】27歳
【性別】
【職業】メーカー営業
【年収】500万円
【趣味】アウトドア全般
【情報収集】Instagram、日経新聞
【パーソナリティ】長女だったこともあり昔から責任感が強い。職場では仕事を最後までやり遂げる姿勢が評価されている。
【悩み】最近は重要な仕事を任される様になってきたため、残業時間が日に日に増えている。

この人に何をしてあげれば喜んでもらえるでしょうか。よりイメージが浮かび上がってくるのではないでしょうか。こうして顧客の具体的な人間像を浮かび上がらせることで、何を求めているか想像しやすくなります。

顧客に合わせたマーケティング施策が打ちやすくなる

ペルソナでは1人の具体的な人物像を設定しているので、そのペルソナに有効なチャネルや、広告に触れる際の心理状態といった細かな設定がすでに存在します。そのため、想定する顧客に最適化されたマーケティング施策を立案・実行することが容易になります。 

チーム間での意思疎通がはかどる

ペルソナを作成することでチーム間で一つの基準が生まれます。例えば20代女性という情報しかない場合、その趣味嗜好や、顧客の設定になり得るよく利用するSNS、商品を探す際の心理状態など、マーケティング施策を立案する上で重要だが細かい設定については、メンバー間で解釈や価値観の違いが生まれてしまいます。その結果、どのチャネルでどんな広告ビジュアル,広告文にするべきか、といったマーケティング企画を行う際に、各自の意図まで的確に共有することはなかなか難しいです。一方ペルソナを設定していると、顧客の設定を細部まで行っているので、一定の共通認識がすでに存在するため、意思疎通がよりスムーズになります。 

ペルソナ作成のポイント

ペルソナは適切な手順で作らないと効果は期待できません。これから紹介することに注意して取り組んでください。

思い込みを入れない

事実(データ)を元に作成することが一番大事です。よくある失敗はペルソナを自分たちにとって都合がいい妄想のユーザー像に作り変えてしまうことです。

想像だけで設定したペルソナは該当する人が少なかったり、そもそも自社の顧客になり得ない可能性が大いにあります。手間はかかりますが、実際のデータを元にペルソナを作成することを心がけましょう。

関係者全員がイメージしやすいようにする

ペルソナはリアリティーを感じる人物である必要があります。そうでないと感情移入ができず、何を求めているか想像するのが難しくなってしまいます。なので、ペルソナを作成するときは属性情報だけではなく、趣味嗜好や行動特性なども盛り込む必要があります。

定期的に見直す

最後に注意してほしいことはペルソナはあくまで仮説なので絶対ではないということです。なぜならペルソナはデータを元にして架空の人物をイメージしており、その過程では必ず解釈が入るからどうしても間違えることがあるからです。例えば、付き合いたての恋人にプレゼントを贈る時に、何を渡せば良いかわからなくて悩む経験がある方は多いかと思います。一緒にいた時間が少なくて相手の好みを完全に把握できていない中でも、喜びそうなものを予想してプレゼントします。そして一緒に過ごす時間が増えていくことで、相手の意外な一面を知り、さらに理解を深めることができます。その状態であればより相手が喜ぶプレゼントを贈ることができるでしょう。ペルソナを作った後の状況はこの例と似ています。ペルソナが喜びそうなサービスや製品は最初は正確にはわかりません。よりペルソナが望むものを提供するためには、データを追加して定期的に見直していくことでより理解を深める必要があります。

ペルソナの作り方

では、いよいよペルソナの作成方法について解説していきます。ペルソナの作成方法は大きく5つのプロセスに分かれています。

複数の顧客群に分ける(セグメンテーション)

既存の事業の場合は、すでにある顧客情報を利用して、顧客をいくつかのグループに分けます。顧客情報の例としてはBtoB事業の場合は業種や規模、担当者の部署や役職を利用します。BtoC事業の場合は年齢や居住地、利用率などのデータを用います。新規事業であれば、定量・定性調査のデータを用います。

ペルソナを作る対象を決める(ターゲティング)

グループ分けした顧客群の中からペルソナを作成する対象を決めます。判断基準としては市場規模や成長性、競合状況、経営資源などがあります。これらの複数の要素を総合的に考慮し、決定します。セグメンテーションとターゲティングについて詳しく知りたい方はグロービス「MBAマーケティング」を読まれることをお勧めします。

データを集める

ターゲットに関するデータを集めます。

データの例

・お客様アンケート

・口コミサイトやYahoo!知恵袋などのCGM(Consumer Generated Media)

・インタビュー

・アクセス解析

・TwitterやFacebookなどのSNSの投稿

データの共通項を抽出する

集めたデータの共通点を探します。性格や興味を持っていること、好きなこと、悩み事、習慣になっていること、願望、などの視点で共通点を探します。

人物像がわかるような情報を肉付けする

上記のプロセスで探した共通点を元にペルソナシートを作成します。以下のような項目について言語化します。

<基本情報>

・顔写真

・名前

・年齢

・職業

・年収

・居住地

・家族構成

<行動特性>

・趣味

・情報源

<パーソナリティー>

・好きなこと

・嫌いなこと

・性格

<抱えている課題>

・悩み事

<目標など>

顔写真やイラストを用いることでよりペルソナのイメージが湧きやすくなります。さらにこのペルソナのストーリーを作成することで、よりリアルな人物像となります。

まとめ

以上、ペルソナの概要からそのメリット、作り方までご紹介しました。

ただ、ペルソナはあくまで仮設である上、細部まで踏み込んだ設定を行う必要があるため、初めて設定したペルソナが自社のマーケティング活動において意味の大きなものになる可能性は高くはありません。しかし、まずは仮設を元に踏み込んだ設定をすることで、議論が大いに捗り、結果より意味の大きなペルソナへと昇華していくものです。

皆様もペルソナ作成に取りかかり、その効果を実感してみていただけたらと思います。

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